黒子がとれました。中途半端に。

トリートメント終了まで後三日。年末。でもインドは暖かいから年末気分が盛り上がらない。勝手にイベントは企画していたから(お年玉おみくじと日本語指さし帳制作)忙しいのだけど、いかんせん曜日感覚もないし、頭はぼーっとしてる。 

そんな中サダナンダ先生の回診時に 
「このほくろとることに、問題あるか?」 
「ないです!」 
という流れで、首にある大きなほくろをとることに。 
クシャーラという治療でいちおう外科みたい。 

で、それを自分の病室のベッドでやる。え? 治療室的なところはないの? と思ったけど、外科の先生は真剣な顔だしひよっこドクターは4人くっついているし、そんなこと言えない。 

アルコールで消毒して、針でほくろを刺す。 
「痛いわよ。でもちょっとだけ」 
と言われた。確かにちょっとだけ。でも釣り針にひっかっかった魚の気分。針刺されたままなんか薬草の粉が入れられる。ぐりぐりと。傷口に白い絆創膏を貼られ「2時間後にはがすように」とのお達し。 
若いドクターのギタンジェリが「私がはがします!!」と立候補。 

勉強熱心な若いドクターはこうしたちょっとしたことも観察と実践の場として活用している。ギタンジェリも真剣にはがし、真剣に傷跡を観察していた。ギタンジェリは仕事が丁寧。はがすのも、傷跡を拭うのもやさしい。 
そしてクシャーナ後のベッドにはなんかの薬草の粉やアルコール綿が落ちたままなのがインドらしい。 
「マウシーに掃除させるから」 
と言っていたけど、ちょっとは自分でやれよ、と日本人は思う。 

これが3日続く。 
確かにほくろは乾燥して縮んできた。 
縮んだよ? でもとれそうではない。 
「あの、これ本当に今日まででとれるんですか?」 
「とれないわよ。小さくなるだけ。ちゃんととるにはトリートメントのはじめからやらないとね」 
と、院長のガヤル・マダム。 

えーーーー!!!! 
びっくりした。本当にびっくりした。3日でとれるの? と疑問だったけど、ヴァマナだって一日だし、アーユルヴェーダはそんなもんだろうと思っていた。 
甘かった。インド人は斜め上。ほくろとれないってさ! 
「今度きたときとりましょうね」 
今度、今度ね。そう、今度だ。 

パンチャカルマの治療は大晦日で終わったけれど、私は帰国が4日だったので、延長して滞在。元患者という立ち位置。 
ギタンジェリの勉強のためか、クシャーナは二日ほどやってくれた。ギタンジェリが担当医として。アシスタントとしてスミタがくっついた。スミタも勉強熱心。気遣いが細かい二人組だ。 

ギタンジェリは施術が上手だった。やっぱり仕事が丁寧。シーツが汚れないように顔の下に布をしく。ぐりぐり入れるのも本気。しっかり中まで詰め込む。絆創膏貼った後、ちゃんと粉を掃除していった。 
まあ、顔の下にしいていた布は私のハンカチだったけれど。粉がこぼれちゃうってギタンジェリが困り、スミタが私のハンカチ持ってきたとき、「わたしの使うんだ・・・」って思ったけど、丁寧は丁寧。 

帰国後、乾燥していたほくろがとれた。大きさは三分の二位になった。 
たいして痛くもなく、粉詰めただけでとれた。 
これは初日からやったら、マジでとれてたと思う。